ワシが育てた・・・

2023年08月21日

プロスポーツの世界をはじめ、各ジャンルでネタ的に使われる「ワシが育てた」というワード。

個人的に冗談で使うのは大好きなのですが、ちょっと真面目に考察してみたいと思います。


先ずこのパワーワードは直訳すると、「先見の明がある私が、この子の才能を見出し、手塩にかけて育てる事でその才能が開花した。この子の今の活躍は私のおかげでもある」という事になります。

まあ、先輩や指導者として最上級の結果が出た時に使う言葉でしょうか。


もちろん、この言葉を本心で使っている人は人口の約1割くらいでしょうか。殆どの人は、冗談とその場で笑いを得るために使っているわけです。

ただ、たまに本気でこの言葉を発する人に出会いますよね。こういった方を見ると、楽しい人生を送っているのだろうなと羨ましくも感じるわけですが・・・(笑)


本気で発する方は非常に少ないこのパワーワード。

が、心の中では本気でそう思っている方となると、結構増えるのではないでしょうか。

どうでしょう。3割くらいに増えませんかね?


当の私も、過去に本気でそう思っていた一人です・・・(笑)

早速いましたね。3割側の人間が・・・。


これ、実は採用シーンで陥りがちな危険な事例と認識していまして。


ポテンシャル採用という言葉があります。まさにその名の通り、その方の潜在能力や可能性を評価基準に採用するという手法になります。新卒採用や若手採用などは基本的にこの手法がベースになるのですが、中途採用においても採用担当者次第でこの要素が大きく影響しているケースも多いのではないでしょうか。


採用担当として、面接や選考を行ったりする立場であることで、自身のエッセンスを加えて優秀人材の採用が出来れば・・・と思うのは健全な事だと思いますが、果たして採用担当者にそこまでの能力があるのでしょうか?


私は採用担当者時代、その部分に比重を置きすぎており、非常にムラのある採用をしていました。何故なら、私が採用を推薦し、入社した人材の多くが社内で認められ活躍していたからです。まさに「ワシが育てた」的な感覚です。(採用と研修・人材育成をトータルで行っていた事もありますが・・・)

ココが落とし穴です。

過去の成功例を基に、自身のチャネルに合致する人材だけを気が付くとピックアップするようになっていたのですよね。するといつの間にか、なかなか採用が進まなかったり、実は合致する人材をスルーしたりと、採用活動に偏りが見られるようになってしまいました。


これ、採用コストをかけて社全体で取り組んでいるタスクに対して、私自身が大きなマイナスを出していた事になりますよね。

当時、採用担当としてするべきミッションを完全にはき違えていたと思います。

採用担当は優秀な人材を見極めるのも大切な仕事ですが、それは「事業者が必要とする人材」の見極めの事であり、自身の感覚や独断でやる事では無いわけです。


過去に私が推薦して採用・育成した人材が活躍したのは、本人の努力と会社のサポートのおかげなんです。

それをチョットした成功例を基に、「自分の見極めは正しい」「人を見抜く能力がある」と考えるようになると、確実に採用活動が後退します。これ、絶対です。


もちろん、何百人・何千人と面接をするわけですからある程度の傾向は掴めますし、実際にそれは正しいかもしれません。

が、採用担当してやるべき事が、その見極めの前にあるのですよね。


「事業者としての採用基準・判断基準を明確にする」という事。これにつきます。


組織として活動していく中で、採用担当者は採用という一つの部署を任されたわけです。

そのミッションは表面的には優秀な人材の採用と戦力化ですが、それを継続的に成し遂げるためには、事業者としての明確な採用基準を設け、それに沿った採用フローを展開して行く事が大切です。

もちろん機械ではありませんので、担当者としてのエッセンスは入ってきますが、事業に必要な人材を一定基準で採用して行くという部分を大きくブラさない為にも、この作業は必須となってきます。

こういった一連を構築する事は、採用担当としての大きな実績になりますし、面談のクオリティが上がったり、採用幅が広がったりと現状改善にも直接的に繋がる事です。


残念ながら、将来有望な人材を見抜く力は我々にはありません。でも、事業に必要な人材を現時点で判断する事は出来ると思います。


「ワシが育てた」は居酒屋レベルでの笑い話として楽しみたいものです。

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