路線バスの99.6%が赤字について・・・
2024年問題も絡み、ここ最近Web上や各メディアなどでしきりに路線バスの不採算性や運転手の人員不足などについて議論が交わされています。
何を今更と思ってもいたのですが、少し自分なりに意見を纏めてみようかと思います。
路線バスの赤字については、いわば必然的な流れであって、今更驚くべきことではありません。長年問題となって来た少子高齢化や都市部への人口集中などが、時間を経て徐々に進んでくる中、昨今の極端且つ無計画な値上げが公共交通機関であるバス事業者にあまりにも急激にのしかかってきた結果が現在ですよね。
各事業者様毎に悩みに悩みながら事業継続の為、尽力されてきたのですが、公共交通機関であるが故の不可抗力的要素が強すぎて、対処が出来なくなってしまっています。
右にならえで値上げや不採算路線の廃止などが進められれば良いのですが、そうはいかないのが公共交通機関です。(一般事業者に比べると、相応の恩恵も受けてはいるのですが、これらの問題に関してはデメリット部分が浮き彫りになってしまいます)
では、仮に採算のとれる料金体系にした場合、どうなのか?
バス運転手をはじめとする従業員の賃金体系などが改善され、人材不足の解消には一役買うと思われますが、事業的にはどうなるか。
決して、同規模の運営が出来るとは思えないのが正直な私の意見です。
世間的に大規模な値上げが進む中、思ったように賃上げが進んでいない現状況下、人々はサービスの対価として支払うお金の基準値がかなり上がっています。
必要なモノに対する支出は仕方ないですが、代替え出来る物を常に探している状況ですし、サービス提供者側は今まで以上に過酷なサービス競争に突入しているのが現状です。当然、苦しいのはバス事業者様だけではなく、様々な業界で値上げの影響が経営に直撃しています。そんな中で各事業者が生き残りをかけてしのぎを削っているという事実。
つまり、この状況下に公共交通機関というハンデを持ちながら突入していく事に、少し不安を覚えるのは私だけでしょうか。(もちろん、公共交通機関というメリットもあるのですが)
まず、値上げに対応できるサービスの質が現状でも人手不足という現体制で担保出来るのでしょうか?そしてサービス向上と共に顧客を獲得すべく営業部門のスキルはどうか?
今回は、同業他社と競うだけではなく、他サービスと直接的に対峙するような競争力を要すのではないかと思われます。
何が言いたいかというと、今回の件をきっかけにテコ入れする方向性は、慎重且つ公共交通機関という特色を全面に押し出したまま、対処したほうが良いという事です。
過度な競争に突入するという事は、数年前のバス事業参入自由化と重なります。それによってバス業界が手にしたものは何だったか。運転手たちの待遇改悪です。
もちろん、このままでは事業継続が難しい事は事実ですので、何かしらのテコ入れは必要ですが、同時進行で現リソースについての改善を本気でしていかなければならないのではないでしょうか。
例えば、バス運転手の社内的な地位の向上。金銭的待遇だけではありません。現状は昔の士農工商的な状況が多く見られます。どうせ辞めて行くからではなく、必然的に辞めて行ってしまう運転手は思っている以上に多いです。
社内的な地位が上がれば、社会的な地位は必然と上がるものです。
そして、運転手の育成面も改善が必要かと。高品質のサービスを高水準で安定的に提供する事も社会的信頼に繋がり、「バス運転手」というひとつのブランドが生まれます。ちょっと高望みですが、飛行機のパイロットがそのイメージです。若い世代からも憧れられる職業・・・なんだか色々な事が改善しそうですけど・・・。
これらは継続して言い続けていますが、中々進まないのが現状なんですけどね・・・。
あと、もう一点。
本件に関して、有識者が色々と意見をメディアを通して述べています。
それら一つ一つをもっと丁寧に拾ってほしいなと。
がっかりしたのは、Yahooニュースにおけるヤフコメの酷さです。日本女性バス運転手協会の代表理事をしている中嶋氏が女性バス運転手の活用を軸に意見を述べているのですが、「二種免許も持っていない人間が・・・」的な批判コメントの多い事。
同氏とは面識があるのですが、バス事業の運転手採用難問題に対して真摯に尽力している方ですし、女性運転手の活用と地位向上を真剣に考えています。二種免許を持って現場を知らないと・・・なんて心の狭い事を言っている方が、バス業界人でない事を祈るばかりです。
いろいろな意見を取り入れながら、柔軟に。閉鎖的に対処して太刀打ちできる問題ではないのですから。
と、一コンサル事業者がちょっと感情を出して書いてしまいました。
二種免許を持ってない人間の一人ですが、バス業界の事を真剣に考えていままでも活動してきました。
私に何かできる事が無いか、さらに模索して行こうと思います。