”特別施策”の捉え方
採用部署の業務の一つに、求人広告の出稿があります。キャッチ部分やボディ部分などは、各担当広告会社の営業マンなどと打ち合わせを重ねて作成する事が殆どだと思いますが、会社側から提示する募集要項や施策などに関しては、なかなか取引の営業マンでは提案しにくい部分であり、殆どの営業がそのまま広告に記載するという対応をしているかと思います。(本当は、その提示する募集要項や施策などにも意見し、提案があるような営業マンが望ましいところですが・・・)
という事で、殆どが社内で決まり事として取り扱われる「特別施策」について、ちょっと考えてみたいと思います。
まず、「特別施策」とは何ぞや?という所からですね。
入社に際し、付属してくる特典の事です。当然、採用された側にとってメリットになる事が特別施策になります。
バス事業者が設定している施策と言えば、
・大型二種免許取得費用全額負担・補助
・入社祝い金支給
あたりが圧倒的に多いと思います。
これらを設定する目的はもちろん、”応募促進”なのですが、この取り扱い、ちょっと注意していただきたいのです。
こういった施策によるブーストは、もちろん競争相手がいるから発生します。バス事業者の採用部署における競争相手は、近隣同業者(バス事業者)、他の事業者(業種問わず求人募集をしている事業者)です。
が、競争相手がいるという事は、その相手も同じようにブーストさせるため、知恵を絞って施策を企画・実施しています。
つまり、この施策もアップデートして行かないと、ただの無駄なコストになってしまう可能性があるわけです。
また、実施した施策に関しては、その反響リサーチも必須になります。効果が明らかにあるモノは継続実施、感じないモノは設定数値の変更や廃止を検討し、常にアピールの強いものにしていく必要があるからです。
その為には、応募者へのヒアリングは十分すぎる位に行う事をおすすめします。実際に応募した人間からのリサーチほど、信憑性の高いデータは無いわけですから。
ただ、私の考えとしては少し異なります。
特別施策フックで採用活動を続けていくのももちろん一つの方法ですが、非常に波のある不安定な採用活動になる傾向があり、ストック型の採用活動にはなりません。
また、バス事業者における特別施策の実施内容はあまり幅が広くないため、他社との差別化に関して、どうしても金額勝負になりがちです。
つまり、特別施策を全面に押し出して活動していくには限界があるという事になります。
では、どうするのか。
長引く採用難の中、前述した特別施策などは、採用広告にあたりほぼデフォルトになりつつあり、施策でも何でもない状況です。(二種免許の養成などはとくにそうですね)
それらに固執するのではなく、今一度、バス運転手を目指す人の傾向に着目し、その傾向に合致した施策を用意したり、アプローチで募集をかけたりという方法にシフトしてはいかがでしょう。
求人広告にありがちなのは、読者を置き去りにした独りよがりな広告です。
「うちの会社すごいんだぞ!」
を連呼している会社の広告を求職者はどのような目線で見ているか。
例えば、バス運転手を目指す方の理由の一つとして、安定規模且つ公共交通機関としての安定感・安心感を求めて、永く定職としたい・・・という方、結構多いですよね。
その方々に響く広告内容は、「〇〇プレゼント!」ではないはずです。
それよりも「なぜ安定して働けるのか?」「実際に入社した人は現在どのような立場で働いているのか?」など、信憑性のある情報を正確に提供する方が、よほど”プレゼント”になるというわけです。
採用難職種の代表のようなバス運転手ですが、バス運転手になる魅力はたくさんあります。そして、バス会社に属するというメリットも確実にあるわけです。
小手先の文言で集客しようとせず、相手に響く内容を嘘偽りなく確実に伝えるというアプローチで信頼感を築く。一度、自社の求人広告を見直してみませんか?
「〇〇プレゼント!」に心を動かされた応募者、この先期待できる人材でしょうか?
現在の施策はあくまでも必要な待遇と捉え、それに頼った広告アプローチから脱却する事で、求人広告が見違えるようになります。
これは広告に限らず、各メディアでPRする際も同じです。